「美術品/日本画」修復・保存

お知らせ
2023/12/13

過去のブログ紹介 修復に使う糊のお話し ~打ち刷毛を使って~

過去のブログ紹介 修復に使う糊のお話し ~打ち刷毛を使って~
今回は、修復に使う糊のお話しです。

接着剤は、接着力が強くて剥がれない方が良いというイメージはありませんか?
ところが修復に使う接着剤は、剥がせることが重要なんです。

修復をする作品は、長い年月を経てたり、損傷があったりと脆弱化している状態です。
強力な接着剤で貼った紙を剥がそうとすると、作品が剥がす力に耐えられなくて、
もっとボロボロになる危険性があります。
将来の修復や、作品に損傷が生じた場合に、作品に負担が掛からないように
接着剤が除去できることが大切です。

そのためには、どのような接着剤を使うのか?

日本画や書の表装や修復に使う接着剤は、昔から「生麩糊(正麩糊)しょうふのり」です。
日本画や書の補強や、掛け軸や額などの表装を仕立てるために、裏面に紙を貼ります。
そのことを「裏打ち」といいます。その裏打ちに使う接着剤が生麩糊です。

原料は小麦粉澱粉です。使う度に小麦粉澱粉を煮て、生麩糊を作ります。
裏打ちは、表装の形や素材、工程によって、紙の種類や厚さ、接着剤の濃さなどを変えて行います。


詳細はブログをご覧ください。

伝世舎blog日日是好日
2023/07/11

過去のブログ紹介 セロハンテープ痕の修復作業 その3 サクションテーブルでの作業

過去のブログ紹介 セロハンテープ痕の修復作業 その3 サクションテーブルでの作業
前回はサクションテーブルを自作する所までお話ししました。
今回は実際にそれを使った作業についてお話しします。

左の写真はセロハンテープの接着剤痕です。
この接着剤痕は40年近く経過した状態です。
テープは剥がれてしまっていますが、接着剤が残って、
すでに茶色くなって硬化しています。
さらに紙作品の裏面にまで浸透して、茶色い変色が分かります。
そこでサクションテーブルの出番です。

このやり方は、溶剤を使って接着剤を緩めて、
吸い取り紙に吸着させる方法です。
溶剤は浸透性が高いので、緩んだ接着剤が回りに広がって染みにならないように、
吸引しながら処置を行います。
(溶剤を塗っている写真です。)

詳細はブログをどうぞ。

伝世舎blog日日是好日
2023/06/13

過去のブログ紹介 セロハンテープ痕の修復作業 その2 サクションテーブル

過去のブログ紹介 セロハンテープ痕の修復作業 その2 サクションテーブル
前回、セロハンテープの接着剤痕が、いかにやっかいな代物かを説明しました。
接着剤痕の状態によっては取り去ることは難しいですが、できるだけ軽減させています。
除去する方法の一つに、「サクションテーブル」と「溶剤」を使ったやり方があります。
 
この「サクションテーブル」とは、紙作品の汚れや染み痕の洗浄等に使う器具で、
水や溶剤を吸引しながら処置を行います。サクション(suction)とは吸引のことです。
 
接着剤痕の除去は溶剤を使って接着剤を緩めて、他のものに吸着させる方法で行います。
今回の処置では吸い取り紙に吸着させました。溶剤は浸透性が高いので、
緩んだ接着剤が回りに広がって染みにならないように、
「サクションテーブル」で吸引しながら処置を行います。
実は、作品全体の処置をするような大きな「サクションテーブル」は、とても高価です。
ただし、構造はシンプルですので、自作も可能です。
伝世舎では、処置をする箇所が大きくないので、小さなサクションテーブルを自作しました。


詳細はブログをどうぞ。

伝世舎blog日日是好日