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過去のブログ紹介 扁額(へんがく)の修復 4

過去のブログ紹介 扁額(へんがく)の修復 4

過去のブログ紹介、前回に続き扁額(へんがく)の修復4についてです。

前回は、具体的な処置について紹介いたしました。
今回は、最後の仕上げについてです。

さて、本紙が綺麗になったところで、最後の仕上げです。
今回は額を新調しますので、骨から作りました。
意外と地道な作業の連続です。

7.額装の仕立て
骨を新調しました。
パネルの下張り加工をします。

新調した縁裂(へりきれ)と小筋裂(こすじきれ)を調整します。
まず、新調した裂に肌裏打ちを行いました。
 ・肌裏打ち紙;薄美濃紙(長谷川聡製作 手漉き楮紙)
 ・接着剤;生麩糊(小麦澱粉糊)

本紙の裏面にから小筋の裂を付けます。

縁裂を付けた本紙を下張りパネルに張り込みます。
 ・接着剤;生麩糊(小麦澱粉糊)
裏面に裏貼り紙を貼りこみましだ。
 ・裏貼り紙;藍紙(藍染め楮紙)
 ・接着剤;生麩糊(小麦澱粉糊)


8.額の仕上げ
新調した吊り金具を装着しました。
縁木に新調した紫外線カットアクリル板を入れ、パネルを装着して仕上げました。


9.修復後の写真撮影、報告書の作成
修復後の写真を撮影し、報告書を作成します。


10.収納
・中性紙布貼りケースを新調して、収納しました。


○ 修復前

種 類:扁額装/絹本著色 
寸 法:(修復前) 額寸法 縦:460㎜×横:1263㎜
         画面寸法 縦:355㎜×横:985㎜
装 丁:扁額装
パネル:骨組子に下張り加工
縁木(ふち): 黒色塗装
        パネルと縁木は釘による装着
グレージング:なし
縁(へり) :砂子蒔き紙
覆輪(ふくりん):紫地紙(本紙周辺を縁取りしている紙)
裏貼り(裏面) :灰茶地紙


○ 修復後

種 類:扁額装/絹本著色 
寸 法:(修復後) 額寸法 縦:508㎜×横:1330㎜
         本紙寸法 縦:355㎜×横:988㎜
装 丁:扁額装
パネル:杉材骨組子 留め具サルコ付き 下張り加工(8層)(新調)
縁木(ふち)  : 艶消し黒本漆塗り (新調)
          パネルと縁木は留め具のサルコによる装着
グレージング  : 3㎜UVカットアクリル板
縁裂(へりきれ): 浅葱地斜子無地(新調)
小筋裂(こすじきれ): 白茶地龍紋本金襴(新調)
裏貼り(裏面)   : 藍紙(藍染め楮紙)
下張り層(骨組子に下張り8層の工程を行った)
骨縛り、胴貼り、蓑掛け(3層)、蓑縛り、袋貼り(下袋、上袋)2層
骨縛り、蓑掛け、蓑縛り、袋貼り;八女楮紙(溝田義秋製作 手漉き楮紙)
胴貼り;泥(タルク)入り楮紙(大勝敬文製作 手漉き楮紙)


写真と合わせた詳細はブログをご覧ください。

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