「美術品/日本画」修復・保存

お知らせ
2024/10/16

過去のブログ紹介 扁額(へんがく)の修復 1

過去のブログ紹介 扁額(へんがく)の修復 1
過去のブログ紹介、今回は扁額(へんがく)の修復についてです。

この作品は絹地に絵が描かれています。個人の方が所蔵して
います作品で、長い年月お家の鴨居に飾ってありました。

白い衣を着た女が砧打ちをしている姿です。この作品は絹地に墨、
胡粉、百緑、茶色、赤色の絵具で描かれています。右下に署名と
朱印があります。額の縁(へり)は紙に砂子が蒔いてあります。
縁木(ふち)は木地に黒塗装されています。

絵の様子から能の「砧」を画題にしているものと思われます。
ただ画面が茶色くなってしまってよく分かりません。左上のほうに
何か白いものがありますが、何が描かれているのでしょう?
綿が飛んでいる、人魂が飛んでいる、月である等色々な説が飛び
交いました。何せ「砧」の内容がよく分かりません。知っていれば
判断できたのかも知れませんね。

これが何なのかは修復後に判明しますので、こうご期待です。

続きはブログをご覧ください。

伝世舎blog日日是好日
2024/09/18

過去のブログ紹介 襖(ふすま)の修復 5

過去のブログ紹介 襖(ふすま)の修復 5
過去のブログ紹介、前回に続き襖(ふすま)の修復5(仕上げ)
についてのご紹介です。

前回は骨の下張りについてお話し致しました。

まず本紙に2層目の裏打ちである増し裏打ちを行います。
増し裏をした本紙は※仮張り(かりばり)に張り込んでフラットな状態で乾燥させます。
乾燥後、本紙を仮張りから剥がします。

※仮張り=骨に数層の紙を貼り、表面に柿渋を塗って、耐水性を持たせたパネル。
 裏打ちした本紙をフラットに乾燥させるために使います。

本紙を仮張りから剥がします。

本紙を下張りパネルに合わせて、貼る位置を決めます。
裏打ち紙の余分な部分を裁ちます。

余分な裏打ち紙を裁ちます。

本紙を下張りパネルに貼り込んでいきます。
本紙の裏に生麩糊を塗ります。

全体に水糊(生麩糊を薄く溶いた糊)を塗る。

本紙の下張りパネルへの貼り込みは、絵がずれないように、
また波打ったりしないよう慎重に作業を進めます。

本紙の貼り込み。角の部分は将来シワが生じないよう特に慎重に。

本紙が貼られ、襖の形が出来てきました。

残りの仕上げはブログでご覧ください。

伝世舎blog日日是好日
2024/08/21

過去のブログ紹介 襖(ふすま)の修復 4

過去のブログ紹介 襖(ふすま)の修復 4
過去のブログ紹介、前回に続き襖(ふすま)の修復4(骨の下張り作業)
についてのご紹介です。

前回は本紙の洗浄についてお話し致しました。

襖は骨に紙を何層も貼って作られます。その上に本紙を貼り込んで完成します。襖の修復2で解体のお話をしましたが、その時の図をもう一度張っておきます。これが襖全体の構造です。

今回は骨の状態が良かったので、再使用することにしました。旧下張りを剥がした後、作業を進めていきます。まず最初にする作業は「骨縛り」です。骨に濃い生麩糊を塗り、丈夫な楮紙を貼っていきます。今回は細川紙を使いました。骨の組子が緩んで歪まないように、丈夫な楮紙を貼って押さえることが目的です。

次に「同貼り」です。これは骨のヤニを吸収し、透けるのを防ぐために、ベタ貼り(紙の全面に糊を付けて貼ること)をします。泥入り間似合い紙のような填料(てんりょう)の入った紙を使用します。伝世舎ではタルク入りの楮紙を使っています。

続きはブログをご覧ください。

伝世舎blog日日是好日